お母さん、私を生んでくれてありがとう。
でも……お母さん、
こんな私でごめんなさい。




お姉ちゃん、私の大好きなお姉ちゃん。
私はお姉ちゃんが悲しまないように、笑顔でいるのに、何でお姉ちゃんは悲しい顔をするの?
お姉ちゃんが悲しい顔をするのを、どうすれば私は止まられるの?
お姉ちゃん、こんな私でごめんなさい。








明けない夜がないように。
覚めない夢がないように。
私の病気もいつかは治り、お姉ちゃんと同じ制服を着て、お姉ちゃんといっしょの学校へ行って、お姉ちゃんといっしょにお昼を食べる。
……そんなことが出来ると思ってたのに。








私がソレを知ったきっかけは、やっぱりお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんが目を合わせてくれなくなった。
お姉ちゃん、どうして私の目を見てくれないの? どうして悲しそうな顔をするの?
ねえ、教えて。
お姉ちゃんは言い渋っていたが、やがて淡々とした口調で教えてくれた。
私の病気は、どんなことをしても治らないこと。
そして……次の誕生日まで生きられないこと。
ソレを聞いたとき私は、ああ本当に、ドラマみたいなことが現実に起こるのだと、どこか醒めためた頭で思った。
お姉ちゃんは、平気な顔をしていたけれども良く見ると、体が小刻みに震えていた。
私は、お姉ちゃんが心配しないように、笑顔でいるしかなかった。




数日後、私は病院を抜け出して外に出た。
いなくなるなら早いほうがいい、私がいきていることでこれ以上、誰にも迷惑をかけたくないから。
コンビニに行って、必要もないのにお菓子やいろいろな物を買って、そしてカッタ−ナイフを買った。
最後に、思い残すことが無いように、雪景色を見ようと遠回りをしたら、あの人に出会った。
初めて会った時、あの人の後ろにはあゆさんがいた。
二人の姿は私には、眩しいくらいに輝いてみえた。
その日の夜、電気の消えた真っ暗な自分の部屋で、命を絶とうとした。
何も見えない、何も聞こえない、何も考えれない。
世界にぽつんとひとりだけ取り残されたような感覚の中自分の存在が驚くほど希薄に思え、闇と自分の境が酷くあいまいで頼り無い感覚。
ああ、これから私がいこうとするのはこういう世界なんだと思いながら、コンビニで買ったカッタ−を取り出し、重い黄色い柄を握って鈍く光る銀色の刃を出した。
ゆっくりと気持ちを落ちつかせるために深呼吸をして。刃の先を左手首にあてて、すっと引いた。
左手に赤い筋が走った。
赤い液体が小さな球になって手首から下に落ちていく。何も考えれない、このまま私は死ぬんだなっと、思ったとき声が聞こえてきた。
あの人とあゆさんの笑い声が。
楽しそうな声だった。
聞くうちに、あの人たちに自分があんまりにも惨めに思えて、つられるように笑ってしまった。
一度笑いだしたら止まらなくなって……笑って出たはずの涙も止まらなくなって……左手が痛くて……いつの間にか、自分が、悲しくて泣いてることに気がついた。
そして、ひとしきり笑って泣いたら、もう腕を切れなくなってしまった。




あの人に会いたくて、私はベッドを抜け出して学校に行った。
学校に着いたら中庭から上を眺めた。そこで、あの人のクラスを聞いてなかったのを思い出した。
失敗だ。場所が分からなければ探しようがない。私は途方に暮れたように中庭に立ち尽くしてしまった。




昼休み、校舎がざわめき始めると、あの人が中庭に来てくれた。

「よ」

私に気づいて出てきてくれたのが嬉しかった。
その日は、お話をして、大好きなバニラのアイスクリ−ムを奢ってもらった。
次の日も、また次の日も私は学校に行った。




週末は、あの人に誘われて商店街に行った。途中であゆさんにあった。あゆさんはなぜ商店街にいるのか尋ねたら、あいまいにされてしまった。
そして、あゆさんも誘って商店街を三人で歩いた。最初にCDショップに向かって、その後ゲ−ムセンタ−に行った。
ゲ−ムセンタ−で、あゆさんとゲ−ムをして、モグラさんたたきもやった。得点は悪かったけど楽しかった。




いっぱいお話をしていっぱい笑った。




舞踏会の日には、お気に入りの場所で雪合戦をして遊んだ。
そして、噴水の前でドラマみたいにキスをした。




私は、誰も好きになったらいけなかったのに……私も、私が好きになった人も、辛くなるだけなのに。…………わかってたのに。
誕生日に私は、あの人の前からいなくなることを、伝えた。
それからの一週間はあっ、と言う間に過ぎた。




あの人と一緒に学食に行って。
あの人の似顔絵を書いて……少し上手に書けなかったけど。
そして……そして、お姉ちゃんと仲直りが出来た。




二月一日。私の誕生日、それと別れの日。








『祐一さん、私は笑顔でいられましたか?』

















あとがき
初めての二次創作で、ちゃんと出来てるか自信が全くないです(笑
読んだ人が楽しめれば幸いです。



戻る


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送