第四問
人間と動物の違いを答えなさい。
A.体毛に覆われているか、服を着ているかの違い。
「毎週思うけど…このテストに意味はあるのか?」
俺は毎週行われている教授のテストにツッコミを入れる。
とか言いつつ、トンデモな答えを書いている俺も俺だが…。
これ、絶対に学問と関係ない。かろうじで当てはまりそうなのは哲学か。
「はい、回収。これでテストは全部終了ね、お疲れ様」
メガネの似合う女教授が受講生のテストを回収していく。
この教授、勉強のし過ぎでイカレたんじゃねぇのか…そんなどうでもいいことを真剣に考えながら俺は帰り支度をした。
「ねぇ、かまくら作ろうかまくら!!」
「…この平成の世に幕府を作るのか?」
お約束のボケに対して無言で俺を殴る久美。なんつーか、笑顔がコワイんですけど。
「お約束はいいから…こんな天気の日にはかまくらを作るのよ、私の田舎では」
そう言って窓を開ける久美。というか、なんという風習が残っている田舎なんだ。
外は辺り白一色。灰色の空から小さな白い粒がゆっくりと、大量に降ってきている。
今年は例年よりも雪の降る時期が早い。おかげで、寒がりの俺は秋の初めからコタツを出していた。
窓を全開したことによって、冷たい空気が部屋の中に流れ込む。
「寒いっ!! 窓を閉めてくれっ!!」
「まったく…異常なまでに寒がりね。はいはい」
そう言って窓を閉めてコタツの中に潜り込む久美。一体何をするつもりだ。
と思ったらいきなり俺の股の所から顔を出して俺に乗っかる。
そして、満面の笑みで一言。
「今すぐ外に出なけりゃ、明日腹筋が痛くて死にそうになるよ」
俺と久美は外で雪をかき集めている。
ちなみに俺は完全防備。マフラーに手袋、分厚いジャケットに厚手のズボンという格好。
久美に「ダルマみたい」と言われた。ちょっと屈辱。
「これくらいでいいか?」
俺はショベルを肩に担ぎながら久美に聞く。
「ん、お〜け〜。これで雪遊びが満喫できるよ」
そう言って爽やかな…それでいで邪悪に満ちた笑みを俺に向ける。
「ほれ、これはお礼だ…よっと!」
そう言って久美は俺に向かって隠し持っていた雪球を投げつける。
無防備な俺の顔面に直撃。しかもご丁寧に氷の玉を芯に作ってやがる。
しばらく何が起きたのか解らなかったが…
「…てめぇ、よくもやったな!?」
「うわ、逃げろ〜!」
「待てや、コラ!!」
久美と俺の壮絶な鬼ごっこが始まった…
久美が来て初めて迎える冬。
まぁ、冬もいいかなと初めて思ったそんなある日の出来事だった。
続く
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