雨――――――――




「あう〜、せっかくのお散歩も雨じゃいけないね、美汐」
 日曜日の午後
 いつからはじめたかもうわからないけど、私は真琴と一緒に散歩をする。
 本当に散歩するだけの他愛のない行為。
 それでも真琴はいつも楽しそうに笑顔を見せてくれます。
 私も楽しいと思えるから自然に笑顔がこぼれてしまいます。
 でも今日は雨が降り。
 真琴も部屋の中でゴロゴロしています。
 普通に考えれば散歩は中止……
「真琴、お散歩行きましょう。大丈夫、傘をさしていけばいいでしょ?」
 私は真琴を散歩に誘う。
 ずっと二人でゴロゴロしてるのも悪くないけど…
「あぅ?こんな雨なのに?」
 私は真琴の手をとって雨の舞台へと歩き始める。
 大きな雨音は世界と私達を引き離してくれる。
 それは無音と同じ…。
 今この瞬間世界には私と真琴だけ。

 私はそう考えただけで不覚にも笑顔になってしまいました。
「あれ?どうしたの美汐、なんか楽しいことあったの?」
「いえ、ただこうやって雨の中お散歩するのもいいなと思っていたんですよ」
「ふーん、でもちょっとこの傘に二人だと小さいよ」
 一人だと大きいこの傘も二人だとちょっと小さいかもしれません。
 でも、その分真琴と私の距離が近くなるから。
「そうですか?それならもっとこっちにどうぞ」
 私は真琴の体を更に引き寄せます。
「あぅ?えへへ、あったかいね美汐の体」
「そうですか?私は真琴の体の方が暖かいですよ」
 そして二人で笑いあう。

 この季節の雨は体の熱を奪っていきます。
 だけど私の―――――私と真琴の心はとても―――――――穏やかな暖かさです。

「あ、真琴」
「あぅ?」
「肉まん…食べていきましょうね」
「うん!!」

 いつまでこうやっていられるのかはわかりません。
 だけど私は今幸せですよ。

 ねぇ―――――。




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