第二問。
 懐かない動物を懐かせる方法を一つ示しなさい。
 A:餌付けする。


 俺の家に1週間前から住み着いている女…住み着いているというか、居座っているような気がする。
 どうやら彼女の話を聞く限り、俺は飲み会の帰り道に家出して住む家のなかった彼女を酔った勢いで俺の部屋に泊めたらしい。
 その時、彼女と俺で(俺の部屋で)酒盛りをしたらしい。“らしい”のは彼女からの伝聞だから。
 というか、俺って犯罪一歩手前の行為をしているなぁ…
 驚いたのは、彼女は俺より年上だったことだ(免許証で確認)。俺はてっきり年下だと思った、と素直に言ったら急所蹴りをくらった。
 彼女はどうやら「幼く見られる」事にトラウマがあるらしい。たぶん、深夜歩いて警察に補導されたクチだろう。
 そんな彼女、どうやら日本一周旅行中、財布を取られ野宿を敢行しようとした時に俺と出会ったらしい。
 そして、三食昼寝付きの仮の住まいを見つけ、俺の部屋を我が物顔で使っている。
 おかげで彼女が来てから、俺の部屋から出るゴミの量と騒音が15割増しで増えた。大家に怒られた、俺だけ。理不尽だ。
 ちなみに彼女は俺の従姉ということで大家と話をつけた。大家はかなり疑っていたが。うん、大家さんいい勘してる。
 俺が出かけている間、彼女はのんびりと俺の部屋でくつろぎ、俺が帰って来る頃、彼女はぶらりと家を出て行く。
 一体何をやっているのか…俺には分からない。別に知ろうとも思わない、彼女の勝手だ。


 ある日、俺が家に帰って来ると、珍しく彼女は家にいた。
「今日は出かけないのか?」
「うん、今日は家にいたいから」
 彼女は俺の傍に寄ってきて俺に抱きつく。現在、夏真っ盛り。すごく暑い。
「頼むから、離れてくれ。暑い」
「いいからいいから。それじゃおやすみ」
 彼女はそう言うと…ものの1分もしない間に寝息を立て始めた。どれだけ寝つきがいいんだ…赤ちゃんか、こいつは?
 しっかりと抱きつかれたので身動きが取れない。
「…飯、作らせろよ…」




 結局、俺も諦めてそのまま寝た。その日、俺はひさし振りに楽しい夢を見た。
 その夢に彼女が出ていたのは俺だけの秘密だ。








 続く





後書き
拓海です、無題第2弾完成。
途中から話がぶっ飛んでいきました。本当は「シュールな笑いのSS」だったのが「ほのラブSSS」に(笑
あぁ…名前、そろそろ出そうかなぁ…

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